東京都北区、JR田端駅から数分のところに、長年住民活動や地域づくりに関わってきた人々の夢と願いがはじめて具現化した「富士見橋エコー広場館」がある。北区が平成6年に開設したリサイクルの住民活動拠点である。
北区にはこのほか、廃校になった小学校の教室を利用した「北ノ台エコー広場館」と複合施設の一角にある「滝野川西エコー広場館」が、8年に開設されているが、三箇所のエコー広場館の管理・事業運営はすべて住民組織「NPO法人
北区リサイクラー活動機構」に委託されているという大変ユニークな施設である。
エコー広場館は、誰もが、何時でも気軽に参加し、交流し、新しい視点で暮らしを再構築していくエコーライフステージとしてリサイクルに関するすべての活動に開かれた空間である。“ハードは行政、活動は民間”その核にあるのは、リサイクルをキーワードとしたコミュニティの創造である。
― リサイクラー会議発足
北区では、3年1月、リサイクル生活課を設置し、リサイクル活動の指針作りを始めた。ごみ問題やリサイクルのように生活そのものの施策は、住民主導による計画作りが必要という初代課長の発案で一般公募による「北区リサイクラー会議」が発足した。34名による第一次リサイクラー会議では、住民、業者、企業が共に一つのテーブルについて、リサイクルの計画作りを進めていった。
それぞれの立場の違いはあるが、地球環境問題への危機感や、自分たちの生活そのものが、地球へ負荷を与えているという思いは同じである。その共通の認識に立ってお互いの役割を確認していった。
行政の役割は必要な施設、ないし資金的援助を行い、情報提供、組織作りを援助すると位置づけた。住民はすべて行政任せ出なく、自分達も煩わしさを共有していこう、面倒なことも担っていこうということになった。
会議では机上の討議だけでなく、研修や実践を重ねながら、地域の特性を活かした自分たちの生活に合わせたリサイクル活動を模索し、基本的な考えをまとめていった。
その成果は「北区エコーライフ宣言」の素案となる。
― ネットワークづくり
北区のビン・缶回収方式は回収場所の設定やコンテナの保管、出し入れはすべて地域住民が責任を持ち、行政が委託した車が回収するというシステムで、リサイクラー会議の提案によるものである。
4年から3年間で北区全域で実施となり、現在、約25世帯に1箇所、4300人がコンテナの保管と、週1回の出し入れを担っている。
びん・缶のステーション回収ネットワーク「地域リサイクラー協議会」が178の町会の代表により誕生。びん・缶の売上金は、連合町会ごとのエリアに還元され、地域活動などのコミュニティ作りに活かされている。
第一次リサイクラー会議は4年10月終了(リサイクラー会議は1年任期で再任なし、現在第11次)住民主体で策定した「エコーライフ宣言」を実践し推進なければ本当の住民参加にならないという思いがあり、自主組織「北区リサイクラー活動機構」を、会員140名で結成。北区内のリサイクルに関係する人たちのゆるやかなネットワークである。
― 住民の活動拠点
地球環境尾問題で求められているのは、ライフスタイルの見直しであり、まず自分たちの身近な生活圏で出来ることから一人一人が行動を起こしていくことである。
リサイクル生活文化の創造を目指して、住民が多様な行動を起こす活動拠点として、富士見橋エコー広場館が開設されたのは6年1月である。管理・事業運営を委託されるということで、活動機構のメンバーは、開設までの1年間、活動内容や担い手づくりなど、行政の方々と共に、準備に力を尽くした。北ノ台エコー広場館、滝野川西エコー広場館も同様、「官民一体となって開設準備に携わった。
行動を共にすることにより、住民と行政の連携や信頼関係が深まっていったと思っている。
北区リサイクラー活動機構は新たなる発展を目指して、13年6月、特定非営利活動法人を取得した。活動拠点のエコー広場館では、毎日多彩なリサイクル活動が繰り広げられているが、現在、スタッフ約100名が次のような事業をそれぞれ担当し活動している。 |